代表取締役 会長
須藤 恒男さま
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代表取締役 社長
八幡 直幸さま
須藤会長)
「新井先生にお願いをして15年近くになるでしょうか。その前に担当いただいていた先生はひとりで営んでいらしたのですが、誠に残念なことに急逝をされまして。お付き合いをさせていただいていた先生から新井先生をご紹介いただきました」と須藤会長。
「この10年間、経営環境の変化を含め、いろいろなことがありました。新井先生からはさまざまなヒントをいただきました。先生の事務所にうかがってアイデアを聞かせていたのも励みになりましたね」。
「たとえば、弊社の45周年記念パーティー。新井先生に相談を持ち掛けたところ、全面的にプロデュースをいただきました。立川のパレスホテルを会場に選んでいただきまして、実りある時間をみなさまと共有でき有難かったです。10年近く担当をいただいている八田さんに後ほど御礼を申し上げたら、普段は受けてらっしゃらない業務だそうで。あまりにも素晴らしい企画だったので少々驚きました。相談をさせていただいて、応えてくださる。とても助かっています」と微笑む。
〇同社、および須藤会長の歩み
須藤会長)
「私は営業一筋の人間です。機械のことはわからないので、現場に任せています。ひとつ言えることは、お客さまとの関係は有難いものであり、大切にせねばならないものとして動いてきたことです。世の中の動きに、お客さまとの動きに合わせて投資の検討をする。山あり谷ありでした」と天井を見つめる須藤会長。
「機械の導入ってね、難しいんですね。導入はその時期がよいのか、導入によってどのような方向に会社は向かっていくのか。機械自体は現場のみんなに尋ねる。そして、私はパッっと決断する。この関係ですね」。
「私がこの世界に入ったのは、親族が興した工具の商社に営業として参加をしてから。その後、昭和48年に板橋区で当社(㈱須藤精密)を設立します。転機は大きく2つでしょうか。ひとつは “コレット”と呼ばれる治具を取扱いはじめたこと。そして、お取引先の拡大をはじめたこと、です」。
「コレットというのは、イメージしやすくお伝えするとノズルの一種ですね。具体的には半導体などの超小型チップを吸着する器具です。小型チップの方向を揃えて、安定して吸着。そして吸着されたチップが基盤に配置されるのをサポートする重要な役割を担います」。「昭和50年初頭、日本の大手製造メーカーはこのコレットは海外からの輸入が多かった。そのうち、私どものお客さまになっていただけたメーカー様からの依頼で、当社が提供をさせていただくことになりました。先方の工場では4000名の工員が働いてらしたので、その規模はたいへんなものでした」。「私も妻との二人三脚で会社をまわしており、パーツメーカーとのやり取りを夜行い、翌朝お客さまに納品。昼夜なく働いていましたね。私が外に出っぱなしで、会社で妻が電話を受け、そして私が走る日々」と朗らかに語る。
「おかげさまで半導体、精密機器に関する部品の設計、製造、販売。また、工場の自動化に関わる装置の部品も設計、製造、販売できるよう社内を整えることができました。精密と社名に据えております通り、ですね」。
「山あり谷ありと申し上げましたが、当社の事業も三本柱を立てることが出来ました。苦しい時も、お客さまと真摯に向き合うことが大切」。「そうそう、そういえば」と声のトーンを少し変え、「私、負けず嫌いなんですよ」と目元をゆるめる須藤会長。「私たちのお取引先はある意味狭い場所ですから、ライバル企業もいました。五歳ほど年上の経営者が私のライバル。おかげさまで切磋琢磨して経営を進めてこれたなと思います。本当に人に恵まれているなと思います」。「また、お客さまには相談をさせていただき、ヒントをいただく。実行するのは当然、自分です。しかし、心のよりどころが人間には必要。要所要所で、大切な人との出会いがあります。symphony のみなさまとの出会いもそうですね」。
「経営については、あまり背伸びはしません。ただ決断はします。ビックサイトの展示会に赴き、一週間後に気になった機械を購入したこともありました」と隣の奥様にそっと目を向ける。「ただね、これが事業の柱になっているんです」。「購入にあっても、お客さまにその潜在価値を伺ってみたりもしました。会話にあっても、なにかしらのヒントを一つでも持ち帰るようにするのは大切なことです」。
〇須藤精機さまと symphony の関わり
須藤会長)
「2000年半ばには symphony のみなさまに大変なご尽力をいただきました。日本全体の流れでしたが、当時、半導体業界の先行きが不透明になりました。私共のお客さまほか、他社大手メーカーも事業再構築を迫られたのです。製造工程も一部(後工程)が海外に移転するなど大きなものでした」。「その際、わたくしたちも事業の全面的な見直しを図ることになりまして。恩師である弁護士の先生のお弟子さんでらっしゃる京橋の弁護士事務所に訪ねることに。その際、わたしと妻で訪問しましたが、新井先生にも同行いただきました。心強かったです」と振り返る。
「当時の先行き不明な状況をなんとか収めることができまして、お客さま企業からの人材の交流も行うようになりました。メーカーの人材、知識が当社の技術面にも生きてくる。お客さまから相談されたことをひとつひとつ積み上げていく。人、なんですよね。当社にいる社員には長くいてもらいたいと思っています」と前を向く。「また、お世話になった弁護士の先生とは便りの交流を続けさせていただいています。信頼関係もひとつひとつ、です」と手元を見つめた。
「symphony さんには全部をお任せしています。たとえば税務調査については、数回事務所を変えたこともありましたが、symphony さんが一番安心です。ユーザ本意で、スピーディです」。
「話は少しかわりますが、社内のイベントにも心を配っています。個々の部門で食事会が開かれれば、会社として援助をするようにしています。親和会というグループを社員が組んでくれて、社内旅行やバーベキューをしたりも。若い人が入ってくれば、会社の雰囲気も変わります。やっぱり人、なんですよね」。
〇八幡社長の歩みと、symphonyがお手伝いさせていただけていること
八幡社長)
「2007年まで半導体の製造装置を取り扱うメーカーに勤めていました」と八幡社長。「機械設計をし、町工場にその製作を依頼する立場でした。そして、いまはメーカーから依頼をされる立場です。おもしろいですよね」と微笑えむ。「須藤精密に入社をし、経営の知識も整理しなければと2015年にご縁もあってMBA取得しました。須藤会長からは “自分にはよくわからない分野だが、必要ならばすぐ行ってこい”と背中を押していただけました。ありがたいですね」と語る。
「事業承継にあっては、symphonyさんから全面的にサポートをいただけました。毎月会社の数字確認で担当とお会いするのと、決算報告会では新井先生とも面談をします。コンスタントに顔を合わせているので、当方が困っていることを察知してくださって対応や提案をしてくださいます」。
〇今後の展望
八幡社長)
「精密という分野に対して、自社の強みを生かしていきたいです。会長の須藤からもありましたが、技術現場の人材が豊かなことと、彼らに耳を傾けるベースが当社にはあります。ここがあって精密分野の深化です。具体的には微細加工に注力すべく投資を進めています。髪の毛の数分の一と言われるミクロンの世界の穴をあける技術。穴をあけるには、空けられる側(金属素材)の管理も大切になります。熱膨張を管理する環境維持などチャレンジしがいのある課題です。当社の過去には苦しい困難な時期もあったようですが、このように今に生きています。機械ばかりでなく、手作業でしか対応できない部品もあります。精密機器にも自動車のハンドルのようなアソビ(スペース、ゆとり)が求められるのです。これらバランスを維持していきたいですね」と語ってくださった。