代表取締役社長

原田 宗亮さま

symphony へ依頼をして、効果的だったこと

「そうですね。2つあります。ひとつは税務調査ですね。すべてをお任せ出来て安心をしています。わたくし自身は調査の最初に挨拶をさせていただいて、調査中に質問が生じたときに回答するという対応で完了しています」と語る原田社長。

「それと、月次決算をお願いしています。月次でありながら、これにとどまらず付随した配慮をいただくことが多いですね。具体的に申し上げると事業承継でしょうか。創業者である父とはゴールが同じでも、そこへの到達の仕方が異なります。わたしたちの間に symphony さんに入っていただけ、話しやすくなりました」と微笑む。

「月次決算も助かっています。会社が動いた結果には上下の幅、良し悪しがでるもの。努力をするも、残念ながら結果が出ないこともあります。そこで結果が出ないのはなぜだろうと考えるわけです。この裏側の仕組を一緒にあぶりだそうとしてくださいます。たとえば、symphony さんが主催するセミナーの案内。または個別ですと、経営指針の策定や経営計画発表会でのお手伝いをいただきました」。

〇安心したこと

「税務調査をお任せできるようになって、わたし自身、あまり心配をすることがなくなりました。次の調査が入るまで、3年や5年の間を経ることになります。その間、どういえばよいのでしょうか… そわそわすることがなくなりましたね。日ごろ実直に経営に取り組んでいても、思わずそわそわしてしまうのはどの経営者も同じだと思うんですよね。その心配をせずにすむ税務調査が2~3回続いています」と目元がゆるむ。

「また、現場の責任者、経理の責任者、そしてわたしの3名と symphony さんで数字の確認を毎月するようになりました。先代(父君)のときは、いわゆる家族経営でした。ですので、家族以外の役員たちと経営の話をできることはお互いの経営意識を高める場になっています。おかげさまで社員も増えてきました。月次決算を共有する機会もまた社員と持つことができるようになり、時間をかけながら会社のことを知ってもらいたいと考えています。会社全体のことを知ってもらえると、現場の場面場面で課題が出てきたとき “解決にはこれが必要だ”、などと社員の中で発想がつながっていくと思います」。

「私たちの仕事は現場ありき。信頼できる現場と並行して、わたしが出来ることは社内に大枠を示すこと。たとえば、新しい素材を使ってみたいときには現場と情報を共有する。新しい取り組みも現場が自ずと覚えよう、仲間と広めようと思ってもらうことが大切。家業から企業へのシフト。意志をもって取り組んでいます」と前を向く。

〇経営理念と社員の成長

「経営理念は夢とロマンです」と原田社長。「頭の中にはモヤモヤと存在していたけれども、言葉にしたのが父でした。それを見えるようにしたり、伝わりやすいようにしたりしているのが私の代でしょうか」。「当社で働くみんなが夢とロマンをもって日々の現場に臨んでもらいたい。そのような思いが込められています」。

「当社では現場の職人さんが学びを深める仕組みづくりもしています。具体的には、職人さんの作業を動画にとりまして、それを社内で共有する仕組みをとっています。当社では実技研修所も用意しているので、学びと実践を平行して行えます。この動画のアイデアは7年前に団体業界が取り組みはじめたのが先だったのですが、その仕組みを活用。当社でもうまく回り始めています。団体業界の想いも、私たちの想いも同じ。やる気のある人を育てていこうという気持ちがその原点」。「当社では入社をしてもらうと、一か月、半年、一年と研修の場を用意しています。それとは別に個別の研修を年6回ですね」。「左官の仕事は職人の要素もある。ですので、究極覚えるのは自分自身。研修では覚えるキッカケをぜひつかんでもらいたいと思っています。ただ、真面目な人材ほど研修を求めるキッカケを言い出せない。ですので、動画などの研修を揃える環境づくりが私の役割だったのです。そして、新人は分からないながらも現場での悩むときの言葉を覚えるようになる。その言葉を先輩に発するようになると、先輩も同じ道を通っているわけですから、お互いの言葉が合わさる。そして教えあう文化が生まれてきています」とうれしそう。

「2007年に代表に就任して、約12年が経ちました。最初の5年は無我夢中。ようやく動きを出せるようになってきたのがこの3~4年かもしれません」。「先に社内教育の仕組をお話しいたしましたが、おかげさまで社員の定着もよくなりました。一般的に業界として職人の技が大切にされますので、人材が去るときも追わないような雰囲気もあったと思います。ここに対して、社員教育の取り組みが実を結びつつあるのはうれしいですね」と語る。

「採用については、従前は地元の工業高校から紹介での入社が一般的でした。これが最近は変わりつつあります。当社のホームページの情報を充実させたのも手伝っているようです。他業種からの転職者、年齢も30代。場所も九州方面からの申し込みもあるなどこの5年は多岐にわたっています」。「業界の平均年齢が60歳を超えていますが、当社は委託先含め49名。平均年齢は34歳です。工夫のしどころはあるのだなと感じています」と原田社長。

「建築の仕事は、一般的に大型案件になると半年規模で現場に入り込むことになります。そうすると現場と会社のコミュニケーションに気を付ける必要がでてくる。対して、当社の現場作業は1週間から2週間の現場作業がほとんど。このペースで会社でも顔を合わせて話が出来るのは有難いことですね。現場があってこその会社ですから」と微笑む。

〇「左官」という仕事について

「ご存知ですか。鏝(コテ)って、1000丁近く種類があるのですよ」と楽しそうに語る原田社長。「日本は古くから壁を漆喰などで塗り込む文化を育んできました。壁の角の隅を塗り込む、または角をどのように立体的に仕上げるか。ミリ単位で職人の想いが込められていまして、まさに鏝で仕上げるというのが左官の仕事です」。

「左官の魅力は、水を使って漆喰などの材料を練り込むこと。そして、人の手で塗り込んでいきますので、当然、技量の差が出ます。そして、技量とはまた別に個性も出てきます。そうすると、”これの壁は私がつくったんだ” という想いが職人の中で育っていくのですね。左官が仕上げた壁の表情の豊かさ、質感。これらがお客さまに伝ってほしいと願いますし、お客さまも困ったら専門家の原田左官があると頭に浮かべてもらえたらうれしい」。

「お客さまのご要望を受けながら、当社は塗り物に花びらのようなものを入れてみましょう、タイルのようなものを入れてみましょうと提案ができるようにしています。実は32年前に入社をしてくれた女性の左官のアイデアがもとです。漆喰はまっ平らで白くあるべきだというような、こうあるべきだという時代の中のアイデアでした。パステル絵の具を混ぜてみたり、アイシャドウをたらしてみたりなどチャレンジする雰囲気ができました。このアイデアが生き、そして育ち、いわゆる町の工務店から少し脱却した存在になれました」。「当社は祖父が創業で、職人でした。しかし、急遽父がお店を引き継ぐことになり、根っからの職人とは異なる観点で経営に臨んだのがこのアイデアを活かせる土壌だったように思います」と振り返る。

「アイデアというのはお客さまにとっても大切ですよね。お客さまが気づいていない、頭のモヤモヤをいかに形にしてさしあげることができるか。ホームページの情報も充実させておりますが、やはり実際に見てもいただきたい。そのためにショールームも活用しています。ショールームでは、現場のサンプルをカタログに残し、冊子にしたものもお持ち帰りいただけるようにしています。お客さまの頭の中のアイデアが “絵” になるお手伝いができれば有難いですね。情報を知っていただくことは大切で、そのためには私たちはやはり現場を大切にしたい。そう思うのです」。

〇今後に向けての想い

「わたしたちは専門家です。ですので、お客さまから相談される立場でありたい。素敵だな、欲しいなと思われるお手伝いをしたい、そう考え行動をしています。お客さまから困っていることをお聞きし、このようなことでお手伝いができますとお応えする。そのためには知ってもらうことが大切ですね。これには2つの意味があります。会社としてお客さまに情報発信すること。そして、社内に向けての情報発信です。経営理念である “夢とロマン”。社員には技術的にこうありたい、プライベートではこんな生活をしたいなどそれぞれの夢を持って働いてもらいたい。知ってもらうことは大切です」。「経営者としての私は、新しいものを取り入れることが仕事だと考えています。職人さんは当然、失敗は避けたいもの。ですが、チャレンジ精神を活かしてきたのも当社の文化です。外国の素材で試したいものがあれば、職人さんにも取り入れてもらうようにします。ここでも知ってもらうことが大切で、広い意味で道筋が大切だと思っています。小さな一歩でもいい。そしてその小さな一歩を振り返ることも大切。そう信じています。社員には海外への研修にも行ってもらっています。チャレンジすることの意味を感じ取ってもらえれば、海外での経験はすぐには出ないかもしれないけれど、個々人の身体の中に根差し、育つものがあると願っています」。

symphony がお手伝いをさせていただいていること

「一般的に数年スパンでおとずれるといわれる税務調査。日々の準備と、調査の心づもりはしておく必要があります。これに対して、万全の対策をしてくださるのが symphony さん。新しいものを取り込むのが私の仕事と思っていますので、私の仕事に専念させていただける環境づくりをサポートいただけているのは有難いです」。「また、月次決算。数字の確認だけではなく、ちょっと困ったことを symphony さんに相談しておけば、提案で返してくださるのは心強いです」。

「また決算期には、当社と symphony さんでまたひと区切りのミーティングがあります。この場では、当社の役員も含め参加をし、提案を共有できる。社内で課題や困りごと解消に向けての検討ができるのも有難い機会です」。

「数字は結果です。その結果になった理由に気づかせてくださるのも symphony さんです。相談できる、のですよね。そうそう、当然ですが変えいくのは我々なんですよね」と原田社長は少しいたずらっぽく微笑んでくださった。